ごみ屋敷の片付け

京都でごみ屋敷や大量の家財を片付ける方へ、本人同意、重要品、賃貸退去、作業範囲を案内します。

京都市東山区の住宅で玄関付近の片付け方を相談する様子

玄関までごみ袋が積み上がった。京都市東山区で片付けを始める前に

玄関の戸を開けても、すぐには中へ入れません。足元にはごみ袋が重なり、その向こうに段ボール、脱いだ靴、買い物袋。体を横にして一歩入ったところで、今度は「この袋、動かして大丈夫かな」と手が止まります。中に何が入っているのか、本人にもはっきり分からない。薬かもしれないし、鍵かもしれない。郵便物と一緒に通帳を入れた記憶があるという話も出てきます。ごみ屋敷の片付けというと、大量の物を次々と運び出す光景を思い浮かべがちですが、実際にはその前にやることがあります。まず、人が立てる場所を取り戻すこと。玄関から始めるなら、最初の目標は驚くほど小さくて構いません。

最初につくるのは「靴一足を置ける場所」
玄関から避難できる細い通路を確認する様子

玄関いっぱいに袋があると、どうしても「何袋捨てれば片付くか」を考えたくなります。けれど、最初に数えるのは袋ではありません。戸を開けて入り、一人が両足で立ち、振り返って外へ出られるか。そこが出発点です。靴一足をきちんと置ける程度でも床が戻ると、作業する人の体勢が安定します。その小さな場所から、普段過ごす部屋やトイレへ向かって、一本だけ通れる線を探していきます。

ここで厄介なのが、「邪魔だから、とりあえず奥へ」という動かし方です。玄関は広がっても、押し込んだ先で別の山ができる。下にあった物が見えなくなり、あとで本人から「あそこに薬を置いていた」と言われることもあります。外へ出せばいいとも限りません。集合住宅なら共用廊下や階段に袋を並べるわけにはいかず、結局、家の中に一時的な置き場所が必要になります。

そのため、最初に触るのは全部ではなく、戸に当たっている箱、足を取られそうな紙袋、少し触れただけで倒れそうな物など、「これがあるから通れない」と分かる物から。床の見えない場所へ足を差し入れなければ届かない、肩の高さまで物が積まれている、家具の下に袋が食い込んでいる。そんな状態なら、片付けの速さより、そこで作業を続けてよいかを考える方が先です。

「これはごみ」と思った袋から、家の鍵が出てくる
書類と薬と電池と家庭ごみを分ける様子

透明な袋なら中身が分かる、というほど簡単ではありません。空き容器や古い衣類の間から財布が出てくることもあれば、レジ袋の底に診察券や鍵が落ちていることもあります。郵便物の束には広告だけでなく請求書や契約関係の書類が混じり、なぜか空き箱の中から印鑑や通帳が出てくる。長く物が積み重なった家では、「ごみらしく見える物」と「なくなると困る物」が同じ場所にあります。

だから袋を開けたとき、「何を捨てよう」と考えるより先に、「今日なくなったら困る物はないか」と見ます。服用している薬、鍵、財布、スマートフォン、充電器。このあたりは見つけたら片付けの山へ戻さず、生活に使う物として別に確保します。通帳や契約書類は本人と確認する場所へ。写真、手紙、古い手帳など、その場では価値を決めにくい物は無理に白黒をつけません。

迷うたびに作業が止まるなら、「保留」と書いた箱を一つ置いておくだけでも違います。判断できない物はそこへ入れる。今日決めなくてもいい物まで今日捨てようとするから、片付けは苦しくなります。家族が手伝う場合も、封筒を一通ずつ開いて読む必要はありません。宛名や差出人を見て本人へ戻せる形にしておけば、私生活へ必要以上に踏み込まず、必要な物も残せます。

「捨てたい家族」と「触られたくない本人」の間で

玄関を見た家族は、「せめてここだけでも全部出そう」と思います。それは無理もありません。転びそうだし、火事も心配になる。トイレへ行くにも物をまたがなければならない状態なら、一日でも早く片付けたくなります。

ところが本人からすると、景色は少し違います。「そこに置いてあるから分かる」「まだ使う」「勝手に場所を変えられると探せなくなる」。家族には不要品に見える物でも、本人の中では置いてある場所まで含めて暮らしの一部になっていることがあります。ここで「全部捨てる」「何も触らせない」の二択になると、玄関一畳分の話さえ進まなくなります。

家全体について同意を取ろうとせず、「今日は戸が最後まで開くところまで」「ここからトイレまで」「この棚は触らない」と範囲を決める方が進むことがあります。本人がいないと開けない箱、家族が判断してよい物、本人へ戻す物。境界が見えてくると、毎回「これ捨てていい?」と聞く回数も減ります。

本人の体調や認知面の事情があり、家族だけでは判断そのものが難しいケースもあります。そのときは片付け業者だけで解決しようとせず、区役所や福祉・医療の支援先へ生活全体を含めて相談する方法もあります。京都市も、いわゆる「ごみ屋敷」を単に物を撤去すれば終わる問題とは捉えず、本人に寄り添いながら区役所・支所や関係機関が生活上の課題を見ていく考え方を示しています。家族が何度片付けても元へ戻ってしまうなら、物の量とは別のところに理由がないかを見る必要があります。

袋を開ける前に、底を見る
袋を開けず外観から危険物を確認する様子

玄関で袋を仕分けるとき、口をほどく前に見ておきたいのが底です。乾いているか。液体がにじんでいないか。持ち上げたときに底が抜けそうではないか。外側から触れたとき、ガラス片のような硬い物が当たらないか。長く置かれた袋ほど、中身より袋そのものが傷んでいることがあります。

強いにおいがする袋や液体の漏れた袋を、狭い玄関で勢いよく開けるのは避けます。中へ手を差し込むのも危険です。割れた食器や刃物が隠れていればけがにつながりますし、破れた瞬間に中身が床へ広がれば、せっかく確保した足場まで使えなくなります。

電池、モバイルバッテリー、スプレー缶が見つかったときも、ほかの袋へ何となく放り込まないようにします。京都市では、充電式電池やそれを内蔵した製品の回収方法が案内され、小型金属類やスプレー缶にもそれぞれの出し方があります。膨らんだ電池や正体の分からない液体は、無理に分解したり容器を開けたりせず、何なのか確認できるまで分けておきます。

腐敗した食品が見えると、そこだけでも早く出したくなります。ただ、その一袋を取るために上の箱を崩し、家具を動かし、足場のない奥へ入らなければならないなら話は別です。取れる物だけ取って、その日は終える。乾いた衣類も雑誌も家具も、全部同じ日に片付けなくていい。ごみが多い家ほど、「今日はここまで」と止められることが、案外大事です。

袋を縛ったところで、片付けはまだ半分

室内で十袋に分けられた。玄関も少し広くなった。そこで初めて、「これをどうやって外へ出すか」が現実の問題になります。玄関に段差がある。廊下が曲がっている。エレベーターまで距離がある。階段しかない。収集場所は建物の反対側。室内では持てた袋でも、そこまで運ぶとなると話が変わります。

京都市の定期収集では、片手で持てる程度の重さとし、1回につきおおむね2袋までが排出の目安になっています。玄関に三十袋あるから、次の収集日に三十袋すべてを出せるわけではありません。数袋ずつ分別でき、生活スペースが少しずつ戻っていく状態なら、普段の収集を使いながら家族で進める方法があります。一方、家具など袋に入らない物は大型ごみとなり、通常の家庭ごみとは出し方が変わります。

一度に大量の家庭ごみを片付ける場合には、計画的に定期収集へ出すほか、市の処理施設へ自分で持ち込む方法や、一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者へ依頼する方法も京都市から案内されています。ただし、「車があるから持ち込める」とは限りません。三階から袋を下ろせるのか、積込みまで家族だけで続けられるのか。処分方法だけではなく、部屋の中から収集場所や車までの距離も含めて考えると、現実的な方法が見えてきます。

業者を呼ぶ目安は「何袋あるか」ではない
部屋全体と通路を撮影して片付け相談を準備する様子

「何袋くらいになったら業者へ頼むべきですか」と聞かれることがあります。十袋なら自分で、五十袋なら業者、という線が引ければ簡単なのですが、実際の現場はそうなりません。五十袋あっても通路があり、家族で中身を確認でき、毎週少しずつ出せる家はあります。反対に十袋程度でも、その下に大型家具が倒れ込み、液体が漏れ、玄関で人が立てないなら二人だけで触るのは難しくなります。

目安になるのは、量より「判断と作業がどこで詰まっているか」です。立てる場所をつくれない。家具と袋が重なって奥へ入れない。割れ物や漏れがあって触れない。残す物の確認をしながら運び出す人手がない。あるいは退去日が迫っていて、週に数袋という進め方では間に合わない。こうしたところから、家族だけで続ける片付けと、人手を借りる片付けの境目が見えてきます。

東山区で玄関からの通路づくりを含む片付けを相談するときも、「ごみ袋が何袋あります」だけでは状況が伝わりきりません。「この棚は本人が触ってほしくない」「薬と書類は残したい」「家族が立ち会えるのは午前中だけ」といった事情まで伝えた方が、必要な作業を切り分けやすくなります。家中の物を全部処分することだけが、片付け業者への頼み方ではありません。

見積りのときも同じです。仕分けは家族でするのか。迷った物を置く場所はあるのか。貴重品が出てきたら誰へ渡すのか。大型家具を動かした後、床まわりをどこまで片付けるのか。そこまで一つずつ決めると、「玄関と廊下だけ手伝ってほしい」「家具の搬出だけ任せたい」「仕分けから必要」という違いがはっきりします。費用を見る前に作業の境界を見つける。それだけでも、必要以上に大きな依頼になりにくくなります。

まとめ

玄関を埋めたごみ袋を前にすると、どうしても家全体を見てしまいます。「これを全部片付けるのか」と考えた瞬間、手が止まるのも無理はありません。でも、その日に必要なのは、家を空っぽにすることではないかもしれません。靴一足を置ける床を出す。玄関の戸を最後まで開ける。薬や鍵を見つけて、分かる場所へ戻す。そんな小さな変化でも、昨日まで横向きでしか通れなかった玄関から、普通に外へ出られるようになります。

そこまで進めば、次に片付ける場所も見えてきます。家族で少しずつ続けられるのか、家具の搬出だけ人手を借りるのか、仕分けから手伝ってもらうのか。その判断は、床が少し見えてからでも遅くありません。何十袋捨てたかではなく、もう一度そこを「玄関として使えるようになったか」。ごみで塞がれた家の片付けは、そんな一歩から始まります。