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相続対策

相続における家族間トラブルを避けるためのポイント

人が亡くなり相続が開始されると、遺産分割などの相続手続きが必要になりますが、この過程で家族間の争い、「争族」が生じることがあります。争族は相続手続きを複雑かつ困難にするため、事前に争いを避ける方法を理解しておくことが重要です。この記事では、争族を避けるために知っておくべき相続手続きのポイントについて詳しく解説します。争族が発生する主な原因とそれを避けるための具体的な対策方法について紹介させて頂きます。相続における家族間のトラブルを避けるめ、参考にして頂ければ幸いです。

争族とは

争族とは
相続の際に家族間で争いが起きることを「争族」と言います。これは、相続が発生した時に、親子や兄弟などの相続人間で意見の対立が生じる状況を指します。原則として、相続手続きは相続人全員の協力が必要です。遺言書が存在する場合など例外もありますが、基本的には相続人間の合意がなければ、手続きはスムーズに進みません。そのため、相続が争族に発展するのは、被相続人や相続人にとって望ましくありません。争族が起こる理由として、被相続人の財産が多いことが一因と考えられがちですが、実際には財産が少ない場合でも争族になることは珍しくありません。

2019年の司法統計データによると、遺産分割調停事件のうち、被相続人の財産が1000万円以下のケースは2448件、5000万円以下では5545件(2448+3097件)と、全体の約76%を占めています。
これらのデータからもわかるように、一般家庭でも相続が争族に発展する可能性は十分にあります。したがって、相続手続きを行う際には、争族にならないよう注意する必要があります。

争族になるきっかけは?

争族になるきっかけは?

被相続人が持っている財産の内容が、相続人間の争い、すなわち「争族」を引き起こすことがあります。例えば、相続財産が自宅の土地建物だけである場合、これを複数の相続人間で公平に分割するのは難しいです。不動産はそのままでは分割できないためです。不動産を平等に分割するには、まずそれを売却して現金化する必要があります。しかし、相続財産である不動産を引き続き使用したいと考える相続人がいる場合、その人は不動産の売却に反対することがあります。その結果、不動産の処分を巡って相続人間で意見が対立し、相続が争族に発展するリスクがあります。
また、不動産を現金化できない場合には、特定の相続人に不動産を相続させ、その人が他の相続人に対価を支払う方法があります。しかし、この場合でも、対価の金額や支払い方法について相続人間で意見が分かれ、結果として相続から争族に発展することがあります。このような状況を避けるためには、相続財産の内容と分割方法を事前に検討し、相続人間でのコミュニケーションを重視することが重要です。

争族を防ぐ方法

争族を防ぐ方法

相続手続きをスムーズに進めるためには、事前に争族を防ぐための対策を講じることが重要です。そのための生前対策を以下に詳しく解説します。以下の方法を生前に行うことで、争族を未然に防ぎ、相続手続きをスムーズに進めることが可能になります。

遺言書の作成

被相続人が生前に遺言書を作成することは、争族を防ぐ効果的な手段です。遺言書によって、死後の財産承継の意思を明確にできます。特定の相続人に財産を相続させる内容を定めれば、相続人全員の合意がなくても相続手続きが進むため、争族の発生を防ぐことができます。

遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、法的なトラブルを避けるためには公正証書遺言が推奨されます。また、遺言には相続人の遺留分を考慮することが重要です。遺留分を侵害する内容の遺言は、後に遺留分侵害の争いを引き起こす可能性があります。

生前贈与の活用

生前贈与により、特定の相続人に財産を事前に移転させることが可能です。贈与税の配偶者控除や相続時精算課税制度を利用することで税負担を軽減できます。特別受益者として扱われることを防ぐためには、遺言書に特別受益の持戻し免除の意思表示を記載することが望ましいです。

家族信託の利用

家族信託は、特定の相続人への財産承継をスムーズに行うための手段です。委託者(被相続人)が受託者(例えば子ども)に財産の管理や処分を委ねる契約を結びます。信託契約には、契約終了の事由とその後の財産の帰属者も定めます。これにより、相続人間の争いがあっても特定の相続人へ財産を承継させることが可能になります。

生前の遺産整理

生前に遺産を整理しておくことも、争族を防ぐのに役立ちます。相続財産の内容を明確にし、財産目録を作成しておくことで、相続発生後に相続人間で公平に財産を分割しやすくなります。財産の内容が不明確だと、争族の発生リスクが高まるため、遺産整理は大切な対策となります。財産目録は、所有者自身が作成することで、相続人間の疑念を解消するのにも効果的です。
争族が生じる原因は多岐にわたります。相続財産の内容や相続人同士の人間関係が主な要因です。自分の相続手続きにおいて、争族を招く可能性がある要素が存在するかどうかを事前に検討し、必要な対策を検討しましょう。争族を予防するための生前対策には、遺言書の作成、生前贈与の活用、家族信託の設定などがあります。これらの方法を有効に活用することで、相続手続きをスムーズに進めるための準備を整えることができます。